10周年記念誌

10周年記念誌 輝く生命のために―子どもとともに歩んだ10年―
うけつぐもの
うけつぐもの

ごあいさつ

10周年記念誌発刊にあたって

 不安を持ちながらも自らの足で歩み始めようと10年前に船出した『保育カレンダー』。
 毎年、5月の全国保育実践交流連絡会の研修会後、各地からカレンダーに掲載する年長後半時期の子どもたちが描いた水彩画が集まってきます。どんな子どもの、どのような保育実践の絵が集まってくるのであろうかと胸がドキドキします。その絵の背景にある子どもの姿と子ども集団、そして各地域での交流保育の様子、それらが絵と同時に送られてくる保育者の文章で解き明かされていきます。
 ある絵は障がいを持った子が保育者の様々な手立ての中で仲間と育ちあう姿。
 ある絵は最初は「なんでも一番」と仲間を乱していた子が、交流保育の中でステキな仲間と出会って変化していく実践。
 ある絵は未熟児で生まれ、入園したものの病気で登園できないでいる時、保育者が家庭に出かけての出張保育を受け、育っていった姿など。
 私たちはそれらの子育てからお互いに学ばされ励まされてきました。
 子どもを取り巻く環境は悪化をたどる息苦しい社会ですが、一枚一枚の絵を通して語られる保育実践から勇気をもらいました。大人が手を取り合って学びあい、力をよせあって子育て・保育を行うならば、好奇心一杯で、キラキラ目を輝かせ、仲間と遊び合う子どもが育つことを、子育てにたずさわるみなさんに届けたいと思ってきました。
 そんな宝物のようなカレンダーが今年で10年を迎えます。10年分を一冊の冊子にまとめることができました。こんな嬉しいことはありません。これもひとえに多くの方々の協力と励ましがあったればこそ、と深く感謝申し上げます。

2006年11月 保育カレンダー編集委員会

メッセージ

寄せられたお祝いのことば

 保育カレンダー10周年誌発刊にあたり、お祝いのメッセージがよせられましたので紹介します。(順不同)

今後も子どものために

故田中 昌人(京都大学名誉教授)

 秋が深まりはじめました。
  比の度は、2003年と2004年の保育実践交流会の皆様のカレンダーをお送りいただき有難うございました。
  生後第三の新しい発達の原動力が全国各地で健やかに生まれていること、障がいのある子どもたちの懸命に努力している姿が大切にされて育くまれていることに感銘を受けました。
  多くの人にみていただき、大切に保存をしておきたいと期します。
  今後も子どもたちのために学び合い、力を合わせていきたいと願っております。どうか、皆様もお元気で御活躍下さい。

2003年11月27日
この文はまだ先生が元気でおられた時に返信として寄せられた文です。

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文化に学んでヒトになる

大田 堯(都留文科大学名誉教授)

 あらゆる生きものは、自ら変る力を、内面に秘めているという事実は、科学的に確証されているものです。ヒトは文化の只中に生れ、それを自ら身につけないと、生きることもできません。
  文化に学んでヒトになる、その過程を、みなさんの保育カレンダーは、実に鮮明に浮き彫りにしてくれています。とりわけ、障害をもつ子どもの発達が、スローモーションで示されたように鮮かです。
  このカレンダーにのせてある絵は、ある1人の子どもの自己表現、つまり、その子のしるしが、絵となって表現されています。この絵が表現されている背景、成長の経過が、説明されているのも、見るものである私たちの思いを刺激してくれています。それが、結果としての絵だけではなく、それを通して自らをかえてきたその子の自らの変り様が私には尊いものに思わるのです。
  この保育カレンダーが10周年を迎えたことに、関係者の継続的ご努力に対して、私は心から敬意を表したいと思います。ときあたかも、憲法や教育基本法のような国のかたちを示すものが大きな曲がり角にさしかかっているように考えます。
  一人ひとりが自らを創る、その自己形成のアートを授けるために演出する、それが保育の本質だと思います。保育者はアーティストであり、一人ひとりの自己形成に奉仕するのでしょう。その仕事が国益としての「人づくり」につなげられることは、到底許されません。人は自ら納得して変るのではあっても説得によって変えられたり、まして“作られる”ものではありません。
  保育者の方々が、アーティストとしての誇りを堅持して下さって、この国の未来を創り出す子どもたちのために、さらなるご尽力をいただくことをお願いいたします。

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保育カレンダー10周年記念に贈る
わが「お祝いのメッセージ」

大島 清(京都大学名誉教授)

 チャーミングな「保育カレンダー」の10周年記念とか、すばらしいカレンダーをよくここまで続けられて来た。小生も、このカレンダーが気に入って使わせていただいています。
10周年をお迎えになられたとのこと。ご苦労を申し上げるとともに、毎日、このカレンダーをにらみつけながら、生きてこられたことに感謝しています。
是非、機会をつくって、鎌倉においでいただければと思います。
10年分を1冊の本にまとめられる中、いいことだと思います。同時に、この10年間、「何して生きていたんだ。」と己に問いかけている次第です。
 この10年間、よくやったと感動すると同時に、小生、このカレンダーをにらみつけながら、長命を過ごし、おかげ様で、心身ともに、80歳近くを迎えることができたと。気に入ったカレンダーをにらみつけたら、一日一日を過ごすことの大切さを、1ヶ月ごとにはがしながら、感じ取っている次第です。このカレンダーのお陰で、新年に80歳を迎える私の体調も、まあまあうまくいっていると喜んでいるしだい。
 人間というもの。気が入ったカレンダーをにらみつけながら、私の場合は万年過ごしている訳で、順調に過ごせるも過去とこの先を見つめられるのも、毎日、何回か見つめている、このカレンダーのせいだと思っています。
 これからも、ますます感動を身につけられるすばらしい保育カレンダーに大きな期待を画きながら余生をより良くより深く過ごしてゆく所存です。どうか、このカレンダー製作に参加されたみなさんによろしくお伝え下さいますように。
 心からの感謝をこめてお礼まで。

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生命いのちの星”の未来をひら
子らのために

清水 寛(埼玉大学名誉教授)

 「保育カレンダー」が10年を迎え、1冊の本にまとめられるという。言い尽くせない深い喜びと、この本が新たに果たしていく役割に大きな期待を抱いている。
 創刊の時から毎年贈られ、居間の壁に掲げて、日付けの余白には予定を書き込んだりして使ってきた。1年が終わると、絵と解説だけを切り取って手製画集にし、時折、取り出しては眺めて楽しんできた。
 この10年、日本の子どもと保育・教育をめぐる状況は、きわめて深刻な危機的様相を露呈してきている。毎日のように報じられる家庭・学校・地域社会でのあまりにも悲しく痛ましい事件の数々。そして、世界の各地でやむことなく続いている戦争・紛争・テロ・報復…。そのような中で、世界に生まれても「登録」さえもらえない子どもたちが毎年5,000万人もおり、「少年兵」が30万人もいるという。このままでは、子どもたちの未来は閉ざされてしまうのではないか。地球環境そのものが壊れてしまうのではないか。胸苦しく、居たたまれない思いに襲われそうになる。
 そのような時、私は、ずっしりと厚くなった“保育カレンダー画集”を開く。すると、日々、自分の生活と共に在った懐かしい1枚、1枚の絵とそこに添えられた保育者や父母、さらには子ども自身の言葉が力強く呼びかけてくる。「障がいのある子を含めすべての子どもたちに限りない発達の可能性がある。子育てや保育などの子のいのちを輝やかせるかけがえもなく貴い人間的いとなみ。ぼくたち、私たちがその確かな証人だよ!」と。

 「自分は愛されているのだとその子どもに感じさせ、次には熱心に人を愛させる。それがわれわれの教育の初めであり終わりなのである。」

 世界の知的障がい児教育の創始者セガン(1812〜80)の言葉である。装いも新たな保育カレンダー画集は、戦前・戦後の民主的・科学的保育の歴史を受け継ぎ、全国の子どもを真に愛する人たちが10年もの歳月をかけて生みだした“保育文化”の結晶だ。
 宇宙にただ一つ青く輝く“生命の星”=地球の未来を拓く子どもたちのために、広く、国境をも超えて読まれていくことを希っている。

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保育を映し出す子どもの絵に学んで
−10周年に寄せて−

広木 克行(神戸大学教授)

 このカレンダーの絵は、さくら・さくらんぼ保育の中で育った子どもたちの絵です。ご覧になってお分かりのように、これらの絵は大地に山にそして海にしっかりと関わり、大自然に親しんだ子どもたちの絵であり、そして身体と心がしなやかで伸びのびと動いている子どもたちだからこそ描くことができる絵です。
 日本の各地には、この保育の思想を受け継ぎ保育実践を発展させるために努力している沢山の保育士がいますが、その保育士たちは互いに孤立することなく毎年全国規模の保育実践交流会を組織して交流を重ね、子どもたちの絵を通して学び合ってきました。今年はその全国保育実践交流会がスタートしてから10年目を迎えました。
 この間、日常的には北海道から九州まで全国を9つの地域・グループに分け、保育士たちはそれぞれの地域で実践を語り合い絵を見つめ合いながら、お互いの保育を磨き合ってきました。また、それぞれのグループは各地域固有の状況と保育者集団の個性を反映した独自の交流保育を展開してきました。それは各地域の保育士たちが子どもたちの交流を通してお互いの保育の課題を指摘し合い、その課題に挑戦するように励まし合うことで、子どもたちの体と心を育て豊かな文化を伝える保育を追求してきたことを意味します。
 私は、この保育士たちの全国交流会に毎年欠かさず参加してきましたが、そこで見る子どもたちの絵と保育士たちの報告にはいつも感動させられます。なぜならそれは子どもたちの発達に自らの人生を捧げるような各園の園長と保育士たちの生きる姿勢に感動するからでもありますが、同時にどの報告を聞いても今日の乳幼児とその親たちが置かれている厳しい状況への理解と共感が伝わり、一人ひとりの子どもの心を理解しようとする暖かい眼差しと姿勢を感じるからです。
 10周年を迎えた今年のカレンダーの絵を見ても、そこには今日の社会と家庭に生きる子どもたちの発達をめぐる困難が正直に現れています。しかしまた、そこには各地域の保育者集団による実践の創意が生み出す、躍動する子どもたちの姿もしっかりと現れています。子どもの育つ環境が厳しい状況にあるだけに、このカレンダーを通して多くの方たちがこの保育に対する理解を深めてくださることを願わずにはいられません。

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「保育カレンダー」発行10周年、
おめでとうございます

河添 幸江(河添育児学研究所)

 皆さんが、力を寄せ合い「保育カレンダー」を作成、発行を始められて、早いものでもう10周年にもなるのですね。本当におめでとうございます。
私はカレンダーに出てくる、全国の多くの保育園に直接お伺いしていますので、10周年の節目は殊のほか嬉しく思います。特に下記の理由もあり、心からおめでとうございますと、お祝い申し上げます。

1)1つの園だけでなく、また、ひとりよがりでなく、全国の色々な園との交流をして、学び合い、刺激をし合い、交流してこられたこと。
2)子育て、保育の観点が一致していること。(「生活」を大事にしている事。食べる事、遊ぶ事、眠る事など)
3)一人ひとり、どの子も大事にしていること。(「絵」に保育士の思いが記されているのが良い)
4)長い眼で子どもを見て、育てていること。(描いた子どもの成育歴や保育実践が記されていて誰にも子どもが見えてくる)
5)子どもたちが生きいきしていること。(挿入してある写真の子どもの動きがよい、動きが良いから表情がよい。これがとても大事)
6)子どもの「思い」が「絵」に表れていること。(私は絵に関しては判らないが、優しく、美しく、ダイナミックの面と繊細な表現が組み込まれていて、楽しい気持ちで描かれていると思える)
7)「保育カレンダー」の発行は、自分達の保育力の向上に止まらず、このカレンダーを見て、使って頂く他の保育士、父母の方達に直接、間接に良い意味での問題提起の役目をしていること。
8)10年、継続していること。(“継続は力なり”と言われている。いつも現状に満足せず、次への飛躍を求めて継続することは、困難であるだけに、素晴らしいと高く評価できる。)
 すべては記述し尽くせませんが、以上の理由で、「10周年、おめでとうございます」「良く頑張られましたね」と心からの拍手と賛辞を贈ります。今後の発展充実を期待しつつ。
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子どもは生活や遊びの中で人成す

久保田 穣(日本現代詩人会会員・元教師)

 山小屋風の拙宅の小さな玄関、その杉材の壁に、毎年いただいている『保育カレンダー』が吊るしてあります。今、ちょうど10月で石川県の女の子の絵です。大きな木にたくさんの子どもたちが登っています。ぶらんこに乗っている子、蝶も鳥も飛んでいます。土の中のミミズまで描いています。生後2ヶ月で入園し、乳児期後半から病欠が多かったが、6年の保育の中でたくましく育ち、輝いて卒園したと、絵の下部に付された事実の記録に記されています。
十分に身体を動かし、遊びきった子どもの絵です。
 2月の『保育カレンダー』は札幌の子どもたちの絵です。自閉症の6歳の男の子の絵はぼたん雪が降っている風景です。太陽も描かれています。「ひたすら泥んこ遊びに、長く歩く散歩に、そして食べることを充実させ」と、指導記録を載せています。
   6月には岡山県の男の子の絵です。多くの障害をもち、5歳5ヶ月で入園してきましたが、友達と楽しく遊ぶようになり、お話の絵(『黄金のかもしか』)を描いたのです。
   拙宅を訪れる多くの人たちは、この『保育カレンダー』を1枚1枚めくりながら、感嘆の声を上げています。この中には、子どもたちの発達の可能性を全面的に開花させようとする保育士たちの願いが凝集されています。子どもはそのままひとりの人格を持った存在です。さまざまな困難や壁をのりこえて、人成す道を歩んでいきます。
   描きあげられた子どもの絵が豊かなのは、その子どもたちの生活や遊びが豊かだからです。子どもたちは自然の中で、友だちとの関わりのなかで自らを自由に解放し、育っていきます。
   この『保育カレンダー』には、子どもの絵とその園の設立の経緯、子どもの育ちの事実も掲載されています。その10年分が1冊の本にまとめられています。本書の刊行を心からお祝い申し上げます。

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「保育カレンダー10年誌」に寄せて

渡邊 信雄(いわき市立総合磐城共立病院小児科医)

 「保育カレンダー」発行10周年おめでとうございます。
 ご縁があって、いわきさくらんぼ保育園園長小野正子先生から保育カレンダーを戴き、私だけでなく病院の小児科医のみんなが感動を受けました。さらに、いわきさくらんぼ保育園を訪問させていただいた際には、その保育内容に感激しました。動物を含めた自然の中で、知育・体育・徳育・食事全てにおいて「子育て」を実践されていました。
   高度に文明化し、合理主義、拝金主義が横行し、情報が氾濫してメディア漬けの現代社会においては、人間が自然の一部であることがあまりにも忘れられていると思います。誰にでも個性があり、限られた資源の中で、手を取りあって生きていかなければならない自然の摂理の中で、「お蔭様で」と「もったいない」の精神を子育てのみならず人間関係の基本として、現代人はもっとゆったりと生きてゆくべきではないかと思います。今の日本では、若者のフリーターが増加し、モラルが低下し、児童虐待・老人虐待・犯罪・自殺が溢れています。子宝を生かす子育ての失敗の結果と思います。
これからの世の中を良い方向に再生するには、子育てと親育ての両方が必要と考えます。そのためには、子育てに関係する多くの人が子ども達の個性と無限の能力を認識し、理念を共有して協力していかなければなりません。「保育カレンダー」の子どもたちが大きく育ち、世界を再生させる原動力となることを期待しています。
「保育カレンダー」発行が今後とも続けられ、世の中の一筋の光明となり続けられることをお祈り申し上げます。

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保育カレンダーは一冊の
保育理論書

渡辺 順子(日本図書館協会評議員すずらん文庫主宰)

 「保育カレンダー」発行10周年おめでとうございます。
私はいわき・さくらんぼ保育園での講演を機会に、小野正子園長先生より、2005年の「保育カレンダー」をお送りいただきました。
 「カレンダー」とはなっていますが、どの月も貴重な各園での実践記録が、丁寧に編集されていて心打たれました。1冊の保育方針を読み終えたような手応えを感じました。これは通常のカレンダーのように、12月で終了ではなく、手元にとっておきたい、そして折りにふれてめくってみたいカレンダーです。この度、10周年を記念して、本にまとめられること、心よりお祝い申し上げます。
 電子メディア時代における人間性の崩壊、子どもが人間として育つことが危ぶまれている今日、あらためて0歳からの「人と人」、「人と自然」との豊かな対面の重要性を感じます。それは日常の保育実践をとおして、人間としての育ちの基盤が形成されます。
 特に私は「三つ子の魂」と云われる0、1、2、3歳も担当する保育園に期待しています。いま、日本では少子化といっても子どもの数が問題になっていますが、私は数よりも、子どもの育ちで滅びるのではないかと危惧しています。私は33年前に家庭文庫を始め、その後、障害をもつ子のための文庫や0歳からの保健所文庫をつくり、「すべての子どもに言葉の喜びを!」と専業主婦を対象に、言葉がけ、アイコンタクト、絵本の読み聞かせの運動を続けてきました。
 しかし、現実は夫達のリストラ、雇用破壊と離婚の増加などで、子どもを保育園に預ける母親も増加しています。これまで以上に、保育の質が問われる時代です。この時期に子どもの主体性尊重の視点に立ち「保育カレンダー」が1冊の本として発行されることは、日本の未来を考えるすべての人に、保育の原点、家庭養育の基本を示唆するものとして、貴重な記念誌発行となることを確信しています。

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保育カレンダーの発行10周年
おめでとうございます

雨宮みち子(さくら保育園元園長)

 毎年発行されるカレンダーを見て、子ども達のたくましさを感じます。
 この子ども達が育ってゆく世の中に、平和が永久に続くことを祈っています。憲法を守り、教育基本法を守ることこそ平和を守り、戦場に2度と子ども達を送らないことにつながることと思います。
   主体性を持ちしっかりと「ノー」と言える大人になってほしいものです。
   子どもを取り巻く環境は、年々変わり、遊ぶ場所も少なくなった、また、早期教育の流行、テレビの影響など…。年々子ども達の状況は悪くなってきています。このカレンダーを通じて、子育てに悩んでいる親の参考になり、役立っていることと思います。一人ぼっちの親がないよう、1部でも多くの方の手に届くよう願っています。
   私のエピソードを1つ紹介します。
 何年か前のこと、友人の知り合いが南極探険隊の方に保育カレンダーを託しました。このカレンダーは日本の地のみならず、南極の地に1年間飾られ隊員の方々を慰めてくれました。
 はるか遠く南極の大陸にこのカレンダーが飾られたことを思うと、とても嬉しく思います。
 保育カレンダーの1部でも多く普及されることを祈っています。

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保育カレンダーには
人の輪を強く感じる

横内真知子(こぶし保育園)

 私が保育士になった頃、はじめてカレンダーに出会い衝撃を受けた時…。
保育カレンダー編集委員会のメンバーとなり、13枚の絵の選考に初めて関わった時…。
 保育士である期間をずっと見続けてきたカレンダーに寄せる思いは、毎年たくさんの方からいただく励ましの言葉の中に、いくつも凝縮されていると、いつも感じていました。
 何事も、人と人との結びつきや、絆から生まれ、自分の中に大きな存在となっていくことを、編集委員会での活動を通して強く感じています。
 子どもたちのいつの時代も変わらない躍動感に励まされ、毎年毎年全国各地の実践に胸を打たれ、そして自分たちは作り上げた達成感を味わいながら、明日への糧になっている仕事ができることを素晴らしいと思っていました。
 無認可保育園時代には、全国の仲間と大変さもやりがいも共に共感しあい、その中から、認可保育園促進事業で大きなリスクを背負って認可保育園を建ち上げる決意ができたのも、保育カレンダー編集委員であり、たくさんの仲間が励まして援助してくれたからです。また、その後にしっかり見守ってくれているのも、人の輪を強く感じます。
 だから、保育カレンダーを通してもっともっと様々な人と結びつき、輪をつくっていけるのだと思います。私も、これからの10年にむかって共に活動していきたいと思っています。

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保育カレンダーへの思い

金子 隆子(臨床検査技師)

 「さくらんぼのカレンダー、今年もお願いね」この言葉は私がかけているのではないのです。勤務先の看護師さんの成人したお嬢さんが気に入ってくれて、毎年、時期が来ると私に申し込んで下さるのです。また、職場の同僚は、「絵の下に書かれてある熱いメッセージを読むのが楽しみです」と、看護学生は「病気の子ばかり見ていると、生き生きと輝いている子どもを知りたくなるの」と言って購入してくれます。
 以前、検査技師の研修会にカレンダーを持参し、さくらんぼ保育の何たるかをお話ししたことがあります。最初はなかなか、カレンダーのことを言う勇気がありませんでした。こういう場面で話していいのかと、興味をもって聞いてくれるだろうかとか、頭をめぐらしてしまい、迷っていました。でも、思い切って、ポーンとカレンダーを出したら、反応が良くて、心配することなんかない、いいものはだれでも伝わるものなんだと悟ったものです。
 私にとって人生に必要な知恵はすべて、カレンダー販売を始め「保育園活動」から学んだということでしょうか。我娘は卒園してもう12年経ちましたが、我が家の居間の壁にはどうどうと、今年も飾られているのは勿論です。

いわきさくらんぼ保育園創設当時(1988年4月)、4人の子どもさんがおり、その内の一人のお母さんです。
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虹の子保育園の思い出

平井 謙(卒園生父母)

 菜穂美、遼、聡、我が家の3人の子どもすべて0歳児から就学前までお世話になりました。その思い出は、一言ふたことで語り尽くせるものではありませんが、……毎日のように泥んこになったバケツ一杯の洗濯物の持ち帰り……日々の取組みとお互いの関わりで確実に成長していく子ども集団、子どもを中軸に置いた保育をかたくなまでに追及される保育士さんたちの集団、知らず知らずのうちに緊密度を増していく父母の集団、そんなネットワークが丁寧に紡がれて、どの子も期待通りに成長する場となっている。それが「虹の子」だったのではないでしょうか。
 我が家の3人の子どもたちも確かな土台を築いてもらい、それぞれが元気一杯に生活しています。卒園後も毎年届けてもらっているカレンダーによって、虹の子同様、悩みを抱えつつ頑張っていらしゃる津々浦々の保育園の姿と、そこまですくすく育つ子どもたちの姿とが、現在進行形で感じることができます。心からの共感と感謝の気持ちがわきあがっています。大変でしょうが、息の長い運動として継続して欲しく思います。
 有難うございました。

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どんなところでも
たくさんの命が息づいている

渡辺 学(1990年度 九州 こばと保育園卒園児)

 保育カレンダー10周年おめでとうございます。
 こばと保育園に通って毎日の園外保育の中で、どんなところにもたくさんの命が息づいていることを知りました。そんなこと既知のようでも、実際に石をひっくり返したり、草原に手をつっこんだり、川の土管に入り込まないと分からなかっただろう。小さな身体の五感は研ぎすまされていきました

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柿の実が熟れるころ

井上 一夫(産婦人科医)

 毎年この時期がやってくると待合室、指導室、病室の廊下の壁に保育カレンダーが架かる。いつの頃からだろう。
 20年ほど前、「先生のところでは自然分娩をしてくれると聞いてきました」。カルテに書かれた住所を見ると岡山市の西の外れ、それが市街地を通り過ぎて東の外れにある私のところのやって来た。これがもみの木保育園の保育士との出会いだった。
   「自然分娩っていったいなんだろう」。産婦人科の教室に入局して3年目、若い同期の連中の一人が医長として赴任して行った。その時の教授のはなむけの言葉は「柿のみは熟れると落ちてくる。笊(ざる)を受けて待っていろ。そうすれば一番美味しいのが食えるんだ」というものだった。その教えを頑なに守って待っている。休日も夜中もない。そしてその時の教授の歳はとうに過ぎた。
 創設からの保育園つくりの日々の苦労と喜び、障害児の保育などなどを、折に触れ知った。紹介された書籍を読んでいくうちに、お産に携わる者として何か協力できることはないだろうかと模索しているとき、保育カレンダーに出会った。無事、出産を終えた方にお願いして協力してもらっている。
 昨年末、初めてもみの木保育園を訪れた。最初に見たものは、どこにも着色のない白木造りの遊具だった。父兄と保育士の一体となったひたむきさが痛いほど感じられた。待てよ、自分達だって一つの生命の誕生に職員一丸となって取り組んでいるではないか。手作りのお産。同じだ、この灯を消してはならない。静かに頭を下げて別れた吹雪の帰り道、心の中は無性に暖かかった。
 井上先生は、もみの木保育園の温かい支援者です。

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引き続き
保育カレンダー発行を

小林さやか(1992年度北九州あゆみ共同保育所卒園児)

 私は保育士をめざす学生です。
 いつのまにか、自分の将来を思い描く時期に「保育士は大変そうだけど、やりがいもありそうだな」と思うようになっていました。
 中・高校の職場見学、また今年行った保育実習などで、園庭にさえ出る時間がほとんどなく、0〜2歳児では一日中室内で過ごす様子を見て、「自由に外で遊べず、かわいそうだな」と思ってしまいました。私が育った保育所のように、自然の中でのびのび育ち、楽しく遊べる保育を夢見て、日々勉強しています。引き続き素敵な保育カレンダー発行をお願いします。
 10周年おめでとうございます。