2016年 表紙

 「子どもを預ける保育園がない」お母さんたちの切実な願いである待機児童解消のため「子ども・子育て支援新制度」が2015年4月から施行されました。しかし、この制度は経済的観点からだけで考えられているため、子どもの成長発達を保障できるとは言い難く、一番大切な「子どもを育てる」という視点が置き去りにされています。と同時に、そこに働く人たちの待遇や労働条件が二の次になっていることも大きな問題です。みんなで、どんな制度になろうとも子どもの最善の利益と子どもが子どもらしく育つ権利を守り、すこやかに育ちあえる子育ての場をどこにでもつくっていきましょう。
 今、世の中は子どもを安心して生み育てることができる環境ではありません。格差社会、子どもの貧困、虐待、いじめ等、子どもたちの周りには様々な問題が山積しています。戦後70年の今日まで守られてきた「二度と戦争をしない」という憲法9条に対して、集団的自衛権の行使容認や憲法改正の問題が国会で論議されています。しかし私たちは平和の中でこそ子育てが楽しく、みんなが幸せに生きていける社会が実現できると思っています。
 2016年版保育カレンダーに掲載されている絵は「どの子も育つ保育」「子どもが主人公の園づくり」をめざして努力している全国の園の子どもたちが描きました。どこに生まれても、生まれに弱さや障がいがあっても、すこやかに育ち仲間とともに遊び呆ける子どもを育てたいと、誰もが願います。私たちは卒園前の子どもたちの絵に感動し、保育実践やそれを支える親集団の力にたくさんの勇気をもらいました。
 次ページには、毎日楽しんでいるリズムあそびの紹介をしています。子どもたちの笑顔と活動的な姿をご覧ください。これからも子どもたちの幸せを願って保育カレンダーを制作し続けていきます。ぜひ普及にご協力をお願いいたします。
▲6歳11ヵ月の男の子(3年保育) 蓮華の家共同保育園(愛知県岡崎市福岡町西市仲27 0564−54−9555 園長 安藤 千都子)
 2013年9月にNPO法人となり、27年目を迎える無認可共同保育園(園児39人)です。寺の境内に園舎を建てて庫裏で給食を作り、境内中を遊び場にして保育しています。
 この子は3歳11カ月で入園。人との関わりがうまく出来ず、言葉より先に手や足が出るのであちこちでトラブルが起きました。保育者がこの子の行動を止めると、チックがひどくなりました。そこで、この子にとってどういう関わりがいいのか専門家の力を借りて理解しようと親と相談し発達診断を受けてもらうと、自閉症スペクトラムと診断されました。そのことで、この子のおかれている発達状況や気持ちを親と職員の共通理解にし、言葉だけではなく具体的にやって見せたり、人が近より過ぎると苦しくなることをまわりの大人が適切に配慮することで、とても落ち着き、トラブルも減りました。また、大人が彼の行動を結果だけで見ず、発想の楽しさ、おもしろさを彼の良さとして仲間の中で認めていました。そういった中で、仲間もこの子を受け入れ励ますようになり、年長の後半、仲間とともに大きく成長しました。
 12月「森は生きている」の観劇後命令しか出来なかった女王様がお願いできるようになったのがすごい≠ニ発言。また卒園期には長いお話にもよく集中できるようになり『ドリトル先生アフリカゆき』を描きました。

発行:保育カレンダー編集委員会 
福島県いわき市鹿島下蔵持字沢目20-1(いわきさくらんぼ保育園内) 
TEL 0246-58-5616 FAX 0246-58-5644 
ホームページ http://www.hoiku-c.net/

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定価1200円

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