2017年 8月

▲6歳6ヵ月の女の子(3年保育)
いわき・さくらんぼ保育園(福島県いわき市鹿島町下蔵持字沢目20−1 TEL 0246−58−5616 園長 櫛田 啓子)


 無認可7年、認可され今年で23年目になります。いわき市は福島県浜通り東南端に位置する臨海都市で、温暖な気候に恵まれ福島第一原発から50km離れたところに位置しています。海岸沿いから内陸に9km入り、山・川・田んぼに囲まれた環境にありました。5年前の東日本大震災(地震・津波・原発事故)で子どもたちの行動範囲は当初、制限されていました。月日がたち除染活動をしたところは放射線量が減少し、少しずつ園のまわりの散歩が始まりました。2015年の秋頃から放射線量の安全を確認し、自粛していた園の近くの山への散歩が出来るようになりました。しかし散歩の道々は、津波や原発事故で避難された方々の住宅が建ち並び、園の周りの田んぼも宅地となり、いわき市の町も自然も大きく変化しています。現在も給食の食材、園庭、散歩道の放射線量測定は行政のみならず、園独自でも点検を行っています。
 この子は3歳児クラスの4月に入園し、それまでは祖母と家で過していました。当初は表情が固く、何かにつけ泣くことも多くありました。また、遊びの中ではでんぐり遊びや鉄棒が苦手でした。食も細くあまり食べられませんでしたが、園の生活に慣れるに連れて運動量も増え、なんでも食べられるようになりました。4歳の頃から絵を描くことが大好きになり、よく描いていました。年長になってからは友だちの中で自己主張も出来るようになり、気持ちの切替えや頑張ろうとする心が育ち、卒園の頃には苦手な逆上がりも涙を流すこともなく挑戦する姿がありました。
 この絵は、ひばりが命がけでくわえてきた春だけが地面いっぱいに溢れた場面の『天の笛』の絵です。