2018年 表紙

 私たちは子どもの幸せを願って保育カレンダーを発行し、20年の時が流れました。
 日本の社会は、子どもの育つ環境がどんどん劣悪になっています。親の長時間労働や貧困問題、保育所不足による待機児童問題などはたびたび問題視されていますが、いまだ解決には至っていません。そのような中、大人が気にかけてこなかったのが“子どものあそび環境の悪化”です。子どもはあそびの天才と言われますが、その才能を発揮するためにはゆったりとした時間と空間と仲間が必要です。しかし、開発によりあそび場は奪われ、習い事などにより遊ぶ時間もどんどん少なくなっています。そのため、昔は存在した子ども集団は、小さくなり消滅していきました。そういった社会を作り上げてきたのは大人です。子どもは日常的な自然体験や異年齢集団の中で遊ぶ体験を通し、さまざまなことを覚え、創造する力を身につけていきます。子どものあそびを保障する社会を作っていくことは、これからの大人の最優先課題と言えるでしょう。
 こうした現代社会の中で、保育園や認定こども園、幼稚園は子どものあそび環境を保障する役割を担う重要な場であると考えます。私たちは自然環境のある立地を求めて園舎を建て、自然が生活の中にある保育を展開し、本物に触れることを大切にしています。また、子どもの発達に即した同年齢同士のあそびだけでなく、異年齢集団でのあそび体験を保障しています。これこそが乳幼児期の教育なのではないでしょうか。
 子どもは自ら育つ力を持っています。そのためにあそびは必要不可欠なものです。子どもたちが自由に遊べる環境を提供することは大人の責務です。「どの子も育つ」ための環境が社会全体に整い、子どもたちが幸せに生き生きと暮らせる未来を願いながら、私たちはこれからも活動していきます。
▲6歳3ヵ月の男の子(5年11ヵ月保育)
くるみ共同保育園
(大阪府羽曳野市壺井508−1  TEL 072−957−3282  園長 山田 房江)
 くるみ共同保育園は、1970年に認可外の産休明け保育園として開園しました。親と職員が共に「さくら・さくらんぼ保育」を学び、産休明けから12歳の学童期までの保育へと広げてきました。「子どもたちに最善を与えたい」と願い、市役所横でのプレハブの園舎から、現在の自然豊かな壺井の地に広い園庭(約3000u)と木造で檜の床の大きなホールのある園舎(649u)を建設し26年となります。「どの子も育つ」を保育理念に、47年の保育実践では様々な障がいを持つ子どもたちも、この自然環境とリズムあそび、仲間との関わりのなかで、各年齢のあそびを充分に体験し育ち合っています。この実績を生かし2004年にNPO法人を取得し、障がい児通所支援事業を開始しました。市町村を通じて発達の遅れや育ちにくさを抱えた子どもたちを受け入れています。また子育て支援事業も行い、地域の在宅親子へ子育て講演・親子リズム・給食体験・赤ちゃんの子育て等を行い、地域に根差した保育園として活動しています。
 行政へは十数年前から認可の働きかけを行っていますが、いまだ実現せず、認可外の厳しい園運営を親と職員が力を合わせて何とか乗り越えている現状です。認可保育園になることで子どもも親も育つ場として存続できるよう、あらゆる努力を園全体でしているところです。
 この子は5ヵ月からの入園です。睡眠のリズムをしっかり作り、焦らずこの子のペースを大切に育てていきました。就学前健診(年長11月・5歳11ヵ月)で右目の視力が育っていないと分かり、眼鏡を使用しました。「わぁ、みんなはこんなにはっきり見えるんだ」と驚きの声をあげ、意欲的に絵を描きました。この絵は『龍の子太郎』のお話を聞き「お母さんの目になり2人で力を合わせて山を崩しているところが好きだ」と言って描いたものです。

発行:保育カレンダー編集委員会 
福島県いわき市鹿島下蔵持字沢目20-1(いわきさくらんぼ保育園内) 
TEL 0246-58-5616  FAX 0246-58-5644 
ホームページ http://www.hoiku-c.net/

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定価1200円

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