1998年 表紙

6歳2ヵ月の男の子(5年4ヵ月保育)
フジキ保育室 園長 藤木 子
5歳8ヵ月の時の絵
(像やゴリラやワニを描いた)

  カレンダーの絵は「森は生きている」の中の春に冬眠している熊と木の上のカラスを描いたもので、ほんの一瞬の場面をよくとらえたユニークな描写に豊かな感性と創造力が感じとられる。本児は、東京に「大人も子どもも育ち合える保育園」を造る途中で倒れた野俣五子さんの最初の園児だった。乳児から眠りが浅い、食が細い、小児喘息、くり返す中耳炎やけが等、いつも大人達をハラハラさせていたが、年長になって他園との交流が進むうち、優しさや創造力が引き出されて遊びの名人、友達づくりの名人となった。夭折した野俣さんの意思を今なお引き継ぐ園同志が目指したものは、「人として尊ばれ、高められ、励まし合える仲間づくり」でその理想を結実した姿が彼の中にあり、人々を大いに勇気づけてくれている。(藤木)