1999年 表紙

6歳8ヵ月の男の子(3年10ヵ月保育) 
名古屋おひさま保育園 園長 佐藤 美津子

  2歳3ヵ月で小児喘息(2歳11ヵ月入所)となり、5歳後半まで発作で入退院を繰り返したが、ひ弱さを持ちつつ、保育園周辺の広い自然林を生かしたかくれんぼ、ごっこあそび、泥あそびや遠出の散歩、リズムなどで、彼の発達する力や意欲をゆっくり待つ保育を保育者はしてきた。
  6歳頃から小動物を追いかけ、海や川あそびを存分に楽しみ、運動会では仲間や保母の応援を受けて、自らの力を試すかのように挑み、見事な力を発揮した。父はその姿を見て「心から彼が好きになった」と喜んだ。その後、山登り、沢歩き、芝滑り等全身を使った遊びや、ヤットコ作り、まき切り運び、野菜作り、手仕事など黙々と働く子となった。
  3学期、年長5人の意志で「みんなの力を合わせて小鳥小屋を造りたい」と全員で描いた構想図を基に、造る喜びが生きる喜びとなって溢れ、ひたすら働き続けた。完成当日は自信と充実感で輝いた。
  彼は、長いお話しも微動だせず想像をかきたてるようにして聴き入り、何枚もの絵を楽しんで描いた。卒園期は学童の仲間と共に缶蹴り、ドッジボールなどの遊びをし、食欲も旺盛となり体力と柔軟性を身につけた。今、その学童で異年齢集団の仲間関係を楽しんでいる。