2005年6月

▲6歳7ヵ月の女の子(3年10ヵ月保育)
こばと保育園(島根県大田市長久町稲用字明神8−1 0854−82−6884 園長 天野 千春)

 院内保育所として17年間保育をしてきましたが、99年2月国立病院の再編計画により、突然院内保育所廃止の方針が出されました。
 12人の年長児を「せめてもう2ヵ月保育して卒園させたい」という声も無視され、途方にくれました。たまたま『工場跡地貸し出します』の看板をみつけ、すぐに保護者とともにカンパを集め、土、日の作業でプレハブの園舎に改築しました。最初は2ヵ月の予定が、「保育園を続けて欲しい」という親の思いと最低の労働条件でもいい、「この園で働きつづけたい」という保育者の願いで、99年度は19人でスタートしました。その後もいつも保護者と協力し合い、山を拓いて、庭をひろげたり、保育室の改善や運営の苦労をともにしています。今は64人の園児をかかえる保育園に発展しています。
 この子は父親が「自然の中でいろんな体験を通してたくましく育ってほしい」「家庭的な手作り保育園が好きだ」と2歳9ヵ月の時、転園してきました。折り紙やままごと遊びが好きなおとなしい子でしたが、休まず登園するようになり、表情も生き生きとして細かった身体もたくましくなりました。山登りや、合宿交流保育を重ねる中で、くじけない粘り強さを見せました。それまでは家族の絵がほとんどだったのですが、年長後半になると友達や生活の絵、お話の絵もたくさん描くようになりました。
 この絵は『黄金のかもしか』のお話を聞き、卒園ぎりぎりに描きあげ、とても満足そうでした。