2009年2月



▲6歳3ヵ月の女の子(2年保育) 山の子共同保育園
(和歌山県紀の川市北長田546 ・0736−60−1812 園長 嘉摩尻智美)


 開園19年目を迎える認可外保育園です。和歌山県北部紀の川の中流に位置し、春には桃の花、秋には赤く色づく柿の葉と、自然の色彩に囲まれた全園児20人の小さな保育園です。2007年度の年長児は7人と、開園以来の大集団でした。年長になっても一番争いが続き、何かにつけて我がちになる子どもたちでした。食事の準備や動物の世話といった毎日の当番活動をする中で、仲間意識が芽生え協力しあうようになりました。また鯉のぼりや壁画作りなどの共同作業を通して、よく話し合い意見の違いがあっても互いを認めあい、自分達で解決できるようになっていきました。

 この子は4歳4ヵ月で他園から転園してきました。はじめは散歩に出ても仲間から遅れがちで、テレビアニメ番組の主人公の話題がほとんどでした。同年齢の中ではなかなか自分の意見を言えず、小さい子との遊びを好みました。保育士は、この子がどんなことでも常に仲間の中で臆せず、自分の思いを伝えるよう丁寧に関わってきました。<早寝早起き3度の食事>を大事にする生活の基盤が家庭に元々備わっており、自然の中での実体験を大事にする園生活と毎日のリズム遊びで身体作りをする中で、どんどんたくましく変わっていきました。この子の何事にも真摯に取り組み、出来なくてもあきらめず根気よく取り組む姿は、子どもたちの「早いこと、すぐ出来ることがいいことだ」という価値観を変えてくれました。小さい子に慕われる本物のお姉さんになりました。

 この絵は子どもたちが毎日のように散歩に行き、四季の恵みを受け、自分達を育んでくれた里山の風景を描きました。