2006年9月

▲6歳3ヵ月の男の子(5年8ヵ月保育)


   
(1)事故前4月にお父さんとお兄ちゃんと虫とりにいくところ   (2)事故後に10月に描いた絵。 線はふるえているが運動会の戸板登り、竹登り、リズムなどみんなと一緒にやりきった   (3)5園交流保育の楽しかった山登りのあと、「山のぼりの絵をかくんだ」と2月に描いた絵

6歳3ヵ月の男の子(5年8ヵ月保育)
ひばり保育園
茨城県水戸市平須町1824番地の50 電話:029−243−1410 園長:本田 恭子


 この子は7ヵ月入園で、好奇心旺盛で歌が大好きですが、感情がコントロールできず突っ走ってしまうところもあるという子でした。
  年長の6月に交通事故に遭い意識不明の重態となりました。20日後意識は戻ったものの後遺症として、てんかん発作を起こす可能性を指摘されました。また右脳強打により左半身が麻痺状態となりました。
  東洋・西洋医学の治療を受け、事故から1ヵ月後に登園。真直ぐ歩くのは困難でしたが、自ら友達や保育者に話しかけてうれしさにあふれていました。夏祭りのちょうちん作りでは、「みんなと一緒にやりたい」と自らペンや筆を持ち描いていましたが、手がふるえてしまい静止してペンを持つことができませんでした。そこでリハビリの先生の指導を受け、筆に粘土をつける事により多少のふるえも抑える事ができ完成しました。その後、9月のリズム遊びの中では落ちつきがなく、保育者のひざの上に座って自分の番ではなくとも出たり、自分の思いついた事をまわりと関係なく喋ったりする姿がありました。年長交流保育・リズム運動を積み重ねる中、友達の素敵な所を認められるようになり、「みんなと一緒にやりたい」「自分でも上手くなりたい」という気持ちが持てるように変わってきました。そして秋の裏磐梯の自然やすばらしい景色を体で感じ、経験したことを自ら描くようになっていきました。左半身の麻痺も軽減し、相手の気持ちもわかるようになり、みんなと何でもやりたいという前向きな子に成長しました。クラス全体でも命の尊さを強く感じた一年でした。
  この絵は、卒園遠足の多摩動物園でライオンが木で爪を研いでいる様子を描いた絵です。