1998年2月

6歳6ヵ月の男の子(3年保育)
あおぞら保育園 園長 森山 幸朗
5歳7ヵ月のときの絵

  5人兄弟で双子の末弟。3歳5ヵ月で入園してきた。入園当初は、1歳児のところに行っては泥んこに明け暮れ、クラスの仲間とは年長になるまでに遊ぶことが少なかった。言葉がはっきりせず、まわりのことに関心が向かないなど、発達の遅れを心配した。母親と個別に何度も話合い、いっしょに家の仕事をしていくことや見通しをもった言葉かけをするなどを心がけ、ゆっくりとした育ちを待った。園では毎日、山歩きや畑仕事に出かけ、遅くなるこの子を待ってきた。一方、純粋で子どもらしく手はかかるものの誰にも愛される性格であった。家でも絵本を小さい時から読み聞かせていたこともあり、お話が大好きでその世界に入り込んで楽しんでいた。年長になって絵を描くことが好きになり、一人机を出してよく描いていた。この絵は、和紙に初めて描いた時の絵で、夕方お母さんがお迎えに来ても、まだ描くと言って最後まで描ききった作品である。親や保育者に待つことを教えてくれた。(森山律子)