2004年9月

▲6歳2ヵ月の男の子(5年10ヵ月保育)
おひさま保育園(愛知県名古屋市緑区大高町向山51
052-624-5941 園長 佐藤 美津子)
 この子は3ヵ月の入園で2歳前に2回の熱性痙攣を起こし、脳波異常があり、5歳前に視覚認知や物を構成する能力が弱いとわかる。食が細く、友だちとの交わりは衝動的行為が多く、5歳中頃までたたく・かみつく・物をとる等の行動があった。このクラスは、リズム遊び・歌・お話大好きな子たちだったが、とても行動が幼く身体も疲れ易かった。
 年長の保育は一人ひとりが自分に自信と誇りが持てる主体者にと、リズム遊び・雑巾がけ・畑仕事を日課とし、豊かな感性を求めて四季折々には山歩き、雪遊び等の大自然の中で過ごし、保育者は個々の育ちや変化を大切に保育に取組んできた。この子は年長の運動会の頃には抜群のリズム感となり、衝動的行為も少なくなり、針仕事や力仕事も楽しみ根気よくやりこなした。愛知県や2月の茨城県での合宿交流保育を通して自ら考え行動する喜びを得ることができるようになった。
 この子の両親は卒園式の中で3人の個性と調和にあふれたバチさばきを見て感動し「学童期も通して文化を大切にする子に育てていきたい」と語った。
 この絵は『黄金のかもしか』で穴に落ちた虎を助けようとしているところを描いている。絵からは、この子の優しさが浮き出ている。